2017 東北ツーリング (秋田~岩手~青森~岩手~宮城)Day 4-2

6/15(木)
(~南三陸町防災庁舎~大川小学校跡~牛タン利休~ルートイン仙台多賀城)


防潮堤で海は見えないし、陸地は茶色い景色が続くし、道路を走るはダンプカーばかり。吹く風は砂交じりで不思議なぐらいに潮の香がしないし、まさに「作業」のようにバイクを走らせる。こんなツーリングは初めて。


途中、駅の看板が見えたので、トイレ休憩を兼ねて停車。
が、そこにあったのは「駅」ではなく、こじんまりではあるものの真新しいバスターミナル。ちょうど路線バスが到着し、高校生と思わしき数名の学生が下車。駐輪スペースに停めてあった原付に跨って(乗り換えて)走り去っていった。


見上げるとバスターミナルの奥の小高い場所に、駅とプラットホームと思わしきものが見えた。階段を探してみたが、人を寄せ付けないほどに生い茂った草の向こう側で立ち入れず。
震災から6年が経過し、鉄道も元通りになっているものと思っていたが、場所によっては被害の甚大さから路線バスで対応している模様。


路線バスは一時的な代替輸送と思っていたが、線路があった場所はアスファルトで舗装され、専用線としてバスが走ってた。移動するだけならバスで事足りるが、鉄道がなくなると衰退していくんだよなぁ。過去にツーリング先で目にしたところは、何処も同じようだった。鉄道で地域が盛り上がるとまでは言わないものの、人が集うのでそれなりに活気が出るんだよなぁ。

国道45号線を南へ走り、気仙沼市を超えていよいよ南三陸町へ。山間を抜ける道から見える景色は「普通」だが、標高が下がっていくと「不自然に何もない景色」が始まる。そして更に進んでいくと陸前高田市で見たのと同じくダンプカーが走り回り、区画整理中の景色。


道路から少し離れた位置に「南三陸町防災庁舎」がポツンと建っていた。
防災庁舎の名前にしてはいかにも低すぎる建物に見えるが、まさか15mクラスの津波が襲うとは想定されていなかったのだと思う。今後は「遺構」として残するのか、「解体」するのか不明であるが、「後世への教訓」を優先するか「遺族の心情」を優先するか非常に難しい。


すぐ近くには献花台が設けられ、どこかの役所の一行と思わしき人たちがが花を手向けていた。
これを見て何をどのように生かすか知らんが、単なる視察旅行で終わらなきゃいいけど・・・。


南三陸町の前に広がる海を見つつ、国道398号線で石巻市へと向かう。
左手に見えていた海が河口へと変わり、北上川沿いの道をゆっくり上がっていく。水面がすぐ近くと言うか、川と道路との高低差があまりないのが非常に気になった。


新北上大橋を渡り、津波で84名の命が失われた大川小学校に到着。
小学校は北上川沿いのすぐ目の前に位置し、川との高低差はほんの僅か。先ほど走ってきた道路は防潮堤とは成りえぬほど低く、津波が襲ったら逃げるしかない立地。
道路を挟んだ場所に広い砂利スペースがあり、何台かの観光バスが来ては小学校を見学していく状況。津波被害の悲惨さと追悼の目的であれば良いが、単なる観光目的になっているのであれば問題。


建物の状況から津波の高さは伺えるが、楽しかったであろう在りし日の「小学校」の姿を思い浮かべることはできず。
立ち入りを規制するロープには、大川小学校の悲劇についての解説文が掲示されており、津波発生から50分間も校庭で待機したこと、事もあろうに川の方向へ教師が避難誘導したこと、結果として10mもの津波に飲まれたことが書かれていた。また、遺族に対する不誠実な事後対応など、児童の命を守る立場であった教師に対する訴訟が行われていること、また在りし日の学校の写真も紹介されていた。


校舎と体育館を結ぶ渡り廊下は、津波による水流(水圧)で根元から折れていた。目の前にある現実が理解できん状態。


最初に見たときは何だかさっぱり分からなかったが、解説文によれば「体育館(跡)」とのことで、写真左手が体育館へ入る扉、右手の奥に見えるのが舞台とのこと。コンクリート製の体育館がここまで崩壊するとは・・・。
目を転じればすぐ後ろには山があり、小学生でも登れるような斜度。ここに逃げていれば全員が助かったであろうに。小学生の頃、先生の言うことは絶対だったし、川の方向への誘導がおかしいと思っても、付いていくしかなかったんだろうな。


最後に慰霊碑に合掌し、小学校を後に。
震災前は子供達の声で賑やかだったであろうが、今はダンプカーが何台も列を連ねて走り、砂埃が舞う荒れた雰囲気に胸が痛くなった。川から近く、標高も低いことから、(失礼ながら)復興の対象地域とはならないと思う。ここに町があったことすら忘れ去られていくのではなかろうかと。


日も傾いてきたので、宿に向かうため石巻市方面へと走る。
津波の教訓を生かしてか「津波避難タワー」をあちこちで目にしたが、自分の職場は名古屋港の目と鼻の先にも関わらず、このような施設は1つも存在しない。予想される津波の高さが低いからなんだろうが、東海大地震が来たときはホント覚悟しないといかんかも。


三陸自動車道を使い、18時ちょっと前にルートイン仙台多賀城に到着。ホテルの人のご厚意で、屋根付きのスペースに停めさせてもらえた。
勝手な思い込みかもしれんが、昔(20年ぐらい前)に比べてライダーに優しい気する・・・。


荷解きした後、お夕飯を食べに歩いてお出かけ。ツーリング出発前から目を付けておいた「利久」って牛タン屋。せっかく仙台に来たからには食べておかないと。
平日の夜にしては混んでる店内、10分ほど待たされてからカウンター席に通された。


注文したのは「牛たん定食」で、炭火で焼かれた牛たんが3枚(6切)と麦飯、テールスープ、味噌の漬物?のセット。白飯でなく麦飯? テールスープは定番なのか? 味噌の漬物は何?など、思うところはいろいろあったが、これが普通なんでしょう。
で、運ばれてきた牛タンは肉厚でジューシー。これまで食べてきた牛タンって何だったん??って思うほどに別物だった。ただ、お値段がお高め(定食で1650円~)で、地元の人でも日常的に食べるものではないんだろうなと。


帰り道にコンビニに寄ってビールとつまみを調達してからホテルへ。
部屋でテレビを見ながら一人酒。一昨日に購入したパック(700ml)の黒霧島もだいぶ無くなってきた。

本日の走行距離:295km(18.2km/l)

この日(1/2)   2017 東北ツーリング 目次  次の日(1/2)